Criteoが最近発表したレポート「ショッパーストーリー」では、世界中の買物客の4分の3以上は、オンライン・ツー・オフラインやオフライン・ツー・オンラインのショッピングを行っていることが明らかになっています。
特に、ビューティブランドの消費者はオンラインとオフラインをシームレスに移動することに慣れており、必要に応じてラップトップやスマートフォン実店舗を使い分けながら、定期的に商品を検索、閲覧、購入しています。ビューティブランドの消費者にとっては、オンラインで製品のレビューを読んだり、ハウツービデオを見たり、インフルエンサーの投稿を見たりすることが、ごく当たり前のことになっているのです。
ここでは、競争の激しいビューティ業界で今、成功を収めている3ブランドを取り上げ、そのマーケティング戦略の特徴を見ていきましょう。
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チャンスは1日中、どこにだってある/Glossier
最新かつ最高の化粧品を求める消費者は、絶えず自分に合うアイテムを探しています。これはブランド側にとっては、非常に喜ぶべきことです。なぜなら、ブランドには1日中(たとえ彼らが特に買い物をしたい気分にないときでも)、自分たちの商品やサービスをアピールするチャンスがある、ということになるからです。
たとえば、通勤時間やス郵便局での待ち時間は、絶好のチャンス。消費者が暇つぶしになんとなくスマートフォンやタブレットをスクロールしているときに、興味深くて役に立つコンテンツを表示できれば、とてもよいアプローチになります。
この手法で成功したのが、絶大な人気を誇るコスメブランド・Glossierです。Glossierの創業者であるエミリー・ワイスは2004年に、〝The Top Shelf”というコラムを立ち上げました。ここでエミリーは、スーパーモデルやファッションエグゼクティブ、人気編集者などに、彼らがバスルームの中で何をしているのか、インタビューをしたのです。セレブの生活を垣間見られるこのコラムは、すぐに人々の心をつかみ、創業間もないGlossierの知名度UPに貢献しました。
また同社のWEBサイト「Into the Gloss」には、コスメ好きにはたまらない情報やヒントが満載。すぐに熱狂的なファンを獲得し、今では毎月100万人超のユニークユーザを集める一大メディアに成長しています。
とにかく、チャンスは1日中どこにでもあるのです。顧客の日常生活の中のあらゆるシーンに、あなたのブランドを登場させてください。そして、日常生活の一部になってしまいましょう。そして、ブランドや製品について顧客が簡単に学べるコンテンツを作りましょう。そうすれば、そのコンテンツの単なる読者を、熱心な顧客に変えてしまうことができるかもしれません。
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魅力的なストーリーを簡潔に/ロレアル
続いて、自社広告に消費者の目を留めさせることに成功したロレアルの事例をご紹介しましょう。
ロレアルはRoot Cover Up spray(根元の白髪隠しスプレー)の発売にあたって、6秒以内でスプレーの使い方と効果を紹介するYouTube動画広告を作りました(もちろん、スプレーについてもっと詳しく知りたい消費者には動画全体を見てもらえるようにしてあります)。
6秒の動画を見ることによって消費者は、余計な情報や複雑な話を抜きにして、スプレーについて本当に必要な情報だけを手に入れることができます。ロレアルは、このようにシンプルなコンテンツを直接的かつ継続的に提供することによって、消費者のブランドや商品に対する親近感や愛着を高めることに成功しているのです。
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キャンペーンには力強いメッセージが不可欠/Rimmel
成功するキャンペーンには、力強い、一度聞いたら忘れられないような強いメッセージが不可欠です。
Rimmelは、人気男性ブロガーLewys Ballを含む4人のインフルエンサーを起用したオンライン動画を活用し、ダイバーシティを称賛するキャンペーンを展開しました。このキャンペーンのメッセージは「大胆に、あなたらしく」。実に、クリアなメッセージです。
例えば、「#LiveTheLondonLook」と題した動画では、都市の風景、友人との楽しい時間などを鮮やかに映し出し、最後に「個性的であれ。個性があなたを作るのだ」というナレーションが流れます。このようなダイナミックなコンテンツを活用することによって、Rimmelは自分たちの商品と、顧客の普遍的なテーマとを見事に繋げてみせたのです。
オンライン広告が溢れる今の時代、ビューティブランドにとってコンテンツ・マーケティングは、かつてないほど強力な武器になります。顧客がSNS上にいようとも、アプリ上にいようとも、あるいは実店舗にいようとも、オンライン上のストーリーとオフラインでの体験とを繋ぐことが、ブランドにとって極めて重要です。複数のチャネルをまたいで展開できる一貫したストーリーを確立しましょう。そのストーリーこそが、顧客との長期的な関係やブランドロイヤリティを生み出すカギとなるはずです。